サルフェーション除去装置を自作してみました。
どこよりも強力!?
1. サルフェーションとは
「サルフェーションとは、鉛バッテリーから電気を取り出した時に発生する硫酸鉛が固まりになることです。 この固まりは電気を通さない為、サルフェーションが発生するとバッテリー内部の電気の流れが阻害され、充電を行っても十分に電気が回復しなくなります。」ここにも説明あります。
とのことらしい。世の中にはこの「サルフェーション」なるものを除去する装置が売られている。どのように除去しているか一言でいうと「ショック療法」みたいなもので瞬間的に高い電圧のパルスを印加して、電気で叩いて落とすみたいなイメージかな・・・。
2. 回路シミュレーション
amazoneなどでも怪しいもの含めてサルフェーション除去装置あったり、充電器があったりしてます。ただ、この程度のものならすぐ作れそうなので、作ってみることにします。
普通、タイマーIC555の使い方として、PWM波形を作る場合、ON Dutyが50%よりも長い波形しか作れない。D1を挿入することによりDutyが50%以下の波形も生成できるようになる。
発振周期はC1によって決定されるようだ。
第5図はデューティー比を0~100%まで可変できる回路です。ボリュームのスライダーをR1側へやるとデューティー比が小さくなり(点灯時間の短い点滅)、R2側へやるとデューティー比が大きくなります(点灯時間の長い点滅)。点滅周期はデューティー比と無関係かと思ったのですが、実際にやってみると、ボリュームのスライダーが中点にあるとき最も点滅周期が長く、両端へ行くと10%程度短くなりました。
ここでは実際には1000pを使用しているが、実際の発振周期から1500p相当になっていると思われる。
第5図はデューティー比を0~100%まで可変できる回路です。ボリュームのスライダーをR1側へやるとデューティー比が小さくなり(点灯時間の短い点滅)、R2側へやるとデューティー比が大きくなります(点灯時間の長い点滅)。点滅周期はデューティー比と無関係かと思ったのですが、実際にやってみると、ボリュームのスライダーが中点にあるとき最も点滅周期が長く、両端へ行くと10%程度短くなりました。
3. 試作回路
周波数は約50kHz
VR1でパルス幅(Duty)を変更することができる。それによりパルス電圧を変更して、除去強度を調整することが可能となる。
4. パターン設計
基板外形サイズとしてはタカチのSW-55ケースに入るようにする。
また、MOS-FET N-ch (Q1)は発熱しそうなので、ヒートシンクをつけておく。
6. 実機波形確認
まだ、実際に負荷(被充電バッテリ)に接続していないので、ピークで56V程度の大きな電圧が見える。
7. 実際のバッテリで試してみる
今回の装置が劣化したバッテリに対して効果があるかどうかを評価してみることにする。Sulfation Killerはパルス波形を重畳するだけの装置なので、電源そのものの供給は別途外部電源から供給する必要がある。それは従来の鉛バッテリ充電器でもよいが、今回ここでは一般家庭のどこでもある安定化電源装置を定電流モードで用いることにした。構成の構成概略が以下のとおり。
今回評価で用いたバッテリがあまりにも放置しておいたもので5V、内部抵抗は0.5Ωくらいと劣化しており、正直こんなバッテリが復活できるのか?と思うくらいのものであった。実際のバッテリに接続すると解放時にはピークで56Vだった電圧が18Vくらいになった。これはバッテリが負荷となることで電圧が落ちたものだと思われる。ちなみに18-12=6Vの電位差で内部抵抗0.5Ωだと仮定すると、この状態ではパルス部分の電流は12A流れることになる。
安定化電源を3Aの定電流モードにして、一晩(8時間以上)放置することにする。
8. 問題発生!
8.1 経緯
8.2 対策
主な対策は以下の2点
① ダイオードデバイスの交換
今回使用したダイオードはROHMの少し大きめのショットキーダイオードだが、SMDタイプだったのでC10P40F(Figure 8.2 1)を使用することにした。
② 放熱の強化
大型放熱フィンに変更して、ダイオード(C10P40F)とスイッチングFET(RFP50N06)の放熱強化をした。
8.3 改修内容
制御回路はダメージを受けておらず、再度作るのが面倒だったためそのまま使用することにした。
したがってFETとダイオードだけを放熱フィンにつけるように配線した。
まだ大電流になりそうなところは極力ジャンパー配線に変更した。
9.試してみる
結果として内部抵抗30Ωから20mΩを切る値まで下がった。この値はほぼ新品のバッテリーと同様の内部抵抗値である。
効果絶大!充電電流は1A以下くらいにするとバッテリー自体の発熱はわり低く抑えられる。
10. 結果と所感
一晩充電状態で放置しておいたらかなりバッテリ本体も発熱していた。
また定電流状態にしておいたので、安定化電源の出力電圧は12V→16Vくらいに上昇していた。再度バッテリの電圧と内部抵抗を測定してみた。そしたら電圧は13.5Vで内部抵抗については驚くことに最初500mΩ程度のものが8.7mΩと新品バッテリとほぼ同じくらいに回復していた。ただし、充電中はかなりバッテリが発熱していた!触った感じ50℃くらいになっていたかもしれません。”(-“”-)”
ということで今回製作したSulfation Killer装置は思ったよりも効果があるものとなった。
世の中には同じような機能を持った充電器が販売されているが、使っている部品や出力波形を見る限りここまで強力なパルス波形を出しているものがなかったので、バッテリ復活は限定的なものになっていたのかもしれない。
また今回バッテリテスターとしてHIOKIの「3555 BATTRY HiTESTER」を使用した。これは4端子法のケルビン端子を使って交流源で測定して接触抵抗をキャンセルできるため、数mΩというオーダーで測定するためには4端子法測定が由緒正しい測定方法だと思うが、amazoneなどで販売している以下のようなものがどこまで正しく測定しているのか別途興味があるところでもある。内部抵抗が正しく測定できればバッテリの劣化具合も大体わかる。(CCA値ってやつも推定できそう)
参考リンク:CCAとは?バッテリー寿命に欠かせない基準値やテスト方法
サルフェーション対応充電器の評価(youtube) ←今回製作したものはこれらよりはるかに強力なものになってしまいました。(*´Д`)
私はノートPC用のACアダプターを改造することで、デサルフェーターとして使えないかと実験をしたことがあります。我が家は大家族で、車があれこれとあり、その維持費用を私一人で捻出しなければならかった時期が続き、バッテリー代だけでも馬鹿にならずでした。それで、試行錯誤の結果、廃棄予定のACアダプターを改造し、あれこれ改良を重ねた結果、みんカラのここに投稿したようなことになりました。
https://minkara.carview.co.jp/userid/1275711/car/2658098/5231120/note.aspx
結果として、もうバッテリーは新品を買わず、電子系でお手伝いをしている車ディーラーから貰ってくるバッテリーを再生することで足りるようになってしまいました。
あれこれ実験していて、di/dtの大きなパルスをバッテリーによって、ピーク電流を調整して加えることが重要とも分かってきました。電流が大きいと、電極ショートが起きたりもします。
コメントありがとうございます。バッテリの劣化具合はよくCCAを指標に使われるようですが、あれはあまりアテにしていません。測定方法を胡散臭いし。
それよりも内部抵抗を測定するほうが理にかなっていると思っています。ただ、数十mΩを正確に測定する必要があるので、交流信号源のロックインアンプ方式を考えています。
それとサルフェーションキラーを一つにしてもう少し使いやすものを構想中です。
ただ、いろいろ時間がないのですけどね。