Easy Pocket Power

1. はじめに

小規模実験用電源「Easy Pocket Power」を作ってみました。電源ソースはモバイルバッテリ(5V) or 5~30VのACアダプタ何でもOK!
出力は0V~18Vまで可変できます。世の中にあるものって通常DC/DCの降圧 or 昇圧のどちらかが多いので、入力電圧に対してどちらかしか変換できませんが、それなら、使いにくいので、入力電圧に関係なく0V~18Vまで可変出力できるようにしました!数百mAくらいまでならOKです。これで安心ですよね。

2. 主な仕様

項目内容
入力電圧範囲5V~35V
出力電圧可変範囲0V~18V
最大出力電流1A(目標)
電流計・電圧計表示有り0.1V単位(10V未満は0.01V単位) / 0.01A単位

3. 設計留意点

3.1 内部固定制御電源

入力可能電圧範囲をmin5Vからとしたため、BD3575YFPの高耐圧レギュレータを使用した。
ドロップ電圧が0.25Vとあるので、5V入力したとしても最低4.75V以下にしか設定できない。
また、USB電源は5V-0.3V(ダイオード)があるので、4.7Vとなる。
4.7-0.25=4.45V以下の安定電圧となりうる電圧として4.0Vと設定することにする。

BD3575YFPの一部仕様
BD3575YFP周辺回路構成

3.2 OPAMP電源電圧と制御範囲

OPAMPはuPC1251GFを予定。このOPAMPはGNDセンスアンプなので0Vから出力できるが、出力電圧MAXは「電源電圧-1.5V」なので4-1.5=2.5Vが出力最大値となる。従って電圧制御割り込み電圧は0V~2.5Vの間となる。

uPC1251GFの仕様抜粋
uPC1251GF周辺回路

3.3 制御範囲と抵抗

DC/DCコンバータコントローラIC(LT3115)による昇降圧回路を用いる。この出力電圧を可変制御できるようにするためDC/DCコンバータのFBに外部から制御電圧を加算する。つまり「FB端子に1.0Vになるように外部でフィードバック電圧を調整してやれば任意の電圧になるのではないか!」という発想である。図 3.3 1に示すように R1,R2,R3の抵抗の値をキルヒホッフの法則を用いて制御電圧(0V~2.5V)で出力電圧をコントロールする。
(注意)これは本来の使い方ではないので、動作は保証されない。

図 3.3 1:昇圧電圧の可変回路
電圧可変部回路(電圧注入部)
キルヒホッフで回路を解く
制御電源電圧を0Vにしたときの出力電圧のシミュレーション。約18Vくらい出力しているのがわかる。

4. 評価

入力電圧7V 電圧設定0.8V 出力負荷なし。

入力電圧7V
電圧設定0.8V
出力負荷100mA

大きなうねりとして見えている波形は13kHz周期のスイッチングノイズ
FFTからは高周波成分は特に大きな変化はない。

入力電圧7V
電圧設定3.3V
出力負荷100mA
100mvppくらのスイッチング成分が目立ってきた。

入力電圧7V
電圧設定5.0V
出力負荷100mA

200mvppくらいのスイッチング成分が目立ってきた。

入力電圧7V
電圧設定12.0V
出力負荷100mA

300mvppくらいのスイッチング成分が目立ってきた。

入力電圧7V
電圧設定12.0V
出力負荷50mA

100mvppくらいにスイッチングノイズ成分が減った

入力電圧7.12V
入力電流1.04A
電圧設定12.0V
出力負荷400mA
この電源の条件として最大変換電力
このときの変換効率(η)64.8%
ちょっと悪いかな・・・

ノイズ成分としては0.5Vくらいとなる。

最大変換出力値
入力電圧を7Vとしたときの最大変換電力

電圧(V)最大電流(mA)最大出力電力(W) 変換効率(%)
3.314004.655.0
5.09004.579.0
12.04004.865.5

※最大電流を超えるとLTC3115デバイスの保護が働き電圧が出力されなくなる。
このようにみると入力電圧に近い電圧変換においては変換効率がよく、最大出力はどの出力電圧でもおおよそ4.7W前後だということがわかる。(思ったより変換効率が悪いかも・・・)

5. 外観

製作した基板

6. 所感

少し変換効率を高めて電流を引き出したがったのですが、実際には300mAくらいの領域での仕様となる。
まあ、「簡易」ということなので、これでも特に問題はないので「良し」とする。\(^_^)/
では!

7. Appendix

回路図はこれ
Assy図はこれ

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