リフローやってみた

1. はじめに

やはりしばらく基板を製作していると部品実装が面倒くさくなってくる。基板製造をするときに同時にメタルマスクも発注して自分でもリフローできるようになると便利かもしれない。
ということで、リフローをやってみることにした。

2. リフロー装置を調べてみる

最近はamazoneなどでも簡易リフロー装置が売っているようです。

amazoneで購入できる卓上リフロー装置

ただ、こういものを買ってできるのが当然なのであまり面白くはない。また、使用頻度から考えるとこのサイズのものは大きくて保管場所に困る。巷ではこれは温度があまり上がらないという噂もある。価格も高くはないが、使用頻度からすると安くもない。
ということで何か他のものでリフロー装置が代用できないか考えてみる。

3. 代替リフロー装置の考察

3.1 リフロープロフアイル

本来はちゃんとリフローをしようとすると温度の上げ方やキープ時間などの細かな管理が必要。

赤外線リフローまたは温度リフローを行うときの温度変化(ELSENAの資料より)

1. 予備加熱
  はんだ中のフラックスに含まれる溶剤を蒸発させながら温度を上げる段階
2. プリヒート部(フラックス活性化)
  部品温度にバラつきが出来ない様に温度の均一化を行なうと共に、
  フラックスの活性化しやすい状態をつくる段階。
3. 本加熱部
  PC板と実装部品を均一に昇温させフラックスの活性化状態を促進し、
  はんだ溶融温度まで昇温する段階。
4. 冷却
  送風により冷却を行なう段階。急速に冷却しないと強度が弱くなる

上記のようなプロファイルを頭の片隅に置きつつ、「赤外線リフロー」=「オーブントースター」といのが一番しっくりきたので、試しに「オーブントースター」の温度プロファイルを測定してみることにした。

3.2 SHARP KZ-S20Eの簡易温度プロファイル

手元にあったオーブントースター(SHARP KZ-S20E)
800W(上下それぞれ400W)
ニクロム線(ガラス管)タイプ、上下1本づつ

適当な生基板(捨て基板) (FR4 1.6mm厚) の表、裏の真ん中に熱電対をカプトンテープで貼り付ける。
オーブントースターの中央に設置する
SHARP KZ-S20Eの測定温度プロファイル

【結論】
このSHARPのオーブントースターではパワーが非力で温度上昇率が少し足りない
最高温度として、半田は溶けそうなので、全く使えなくはない!?
表裏でほぼ同じ温度上昇(裏面もヒータがあるので当たり前か!)
プリヒーティングの時間が長いだけで大丈夫?

4. ニトリMG12CKD-2の温度プロファイル(製品動作)

主な仕様:上部:ニクロムガラス管 2本 それぞれ300W
下部:ニクロムガラス管 2本 それぞれ300W(合計1200W)
今回は少しパワーのあるものを用意してみた。

ニトリのオーブントースター
ニトリのオーブントースターのプレート
外観はこんな感じ

お試し基板を置くとき、下部からの熱をなるべく遮蔽して温度上昇をしないようにしてみた。

温度上げすぎかも

【所感】

  1. 温度上昇こう配はSHARPのものとほぼ同じ
  2. 270℃付近でヒータ電源をOFFにしても約10℃惰性で上昇した。
  3. 設置するときに下部を遮蔽したときに温度差は約20℃程度。ただし、遅れて温度は上昇する。
  4. 今回結果的に283℃くらい基板加熱されたが、基板を取り出したとき、表面が右のようにブヨブヨになっていた。温度上がりすぎ?

結果的にはニトリの1200Wのものでも加熱率は変わらないことがわかった。
また、表、裏両方実装したいとき、裏面もヒーターを稼働させておくと再度温めてしまうのでリフローで使用するオーブントースターは下側のヒーターがONしないように改造した。
もともと温度センサーからの値を見ながら制御しようと考えていたが、思ったような温度勾配できないので、最終的にははんだ付け状態、ようするにセルフアライメントと半田の輝き状態などみて判断することにした。したがってリフロー中は目が離せない。(少しの時間だけど)

5. 実際にリフローしてみる

実際に実装する基板
捨て基板に温度センサーを付けて監視しながら加熱する。
使用するメタルマスク
使用したクリームはんだ
0.4mmピッチ QFN
0.5mm QFNパッケージの実装状態
コネクタ周りの様子

結果と考察

  • 半田は200℃くらいから溶け始め、220℃くらいで完全に溶けた感じ。
  • 0.4mmピッチのQFNとなるとメタルマスクを使うと少し半田量が多くなってはんだブリッジした。
  • →メタルマスクを使わずに直接半田クリームを塗布した
  • ただし、塗り方によっては半田クリームのマイクロボールがリフローしたときにバラバラになって固まっているところもあり、下手すればショートのリスクもあると感じた
  • QFNパッケージ(0.4mm,0.5mmピッチ)のものは目視でOKだと判断した。正常に動作したことを確認。
  • 無線モジュールの腹にあるパッドは特に問題なく半田づけはできたようです。→今回モジュールの周辺パッドにははんだ付けせずに腹の半田付けして確認。
  • リフロー半田は目視で確認しながら行う方が安心だと思った。(ヒーター制御装置を作ろうと思ったが、使用頻度とリフロー時間を考えたら見ながら行った方がいいので結局手動操作となる)
  • 気を付けることとして、半田クリームを基板に塗布後、フラックスが乾燥しないうちに部品実装をする必要があるので、あらかじめ部品用意が必要。
  • また、QFNパッケージ品などは位置決めしたところに部品を置くのが難しい。(手がプルプルする・・・(^-^;)


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です