実験用プチ電源の製作

1. はじめに

Aliexpressで次のようなものがあっ。ゆわゆる可変電圧できるDCDCコンバータモジュールである。これと余ったACアダプタを使えば簡易可変安定化電源が作れるので、これを2個ほど入手して実験用電源装置を作ってみる。

Aliexpressからk80hを2個購入してみる

2. 主な仕様

項目 Type1 Type2
入力電圧(ACアダプタ)36V (18V×2)24V
出力電圧可変範囲0V~36V0~24V
出力最大電流(A)5.0
変換効率約88%
スイッチング周波数約180kHz
Type1,Type2の違いは使用するACアダプタに依存するということ。

3. モデル設計

とりあえず、恰好いいケースを設計してみましょう。

Type1 (0~36V)
Type2 (0~24V)

4. 組み立て

ケースが造形できたら組み立てましょう。

余っていた18V 2.5Aの電源を2個直列にして接続
Type1の構成
Type2の構成部品
Type2のケース構成
ACアダプタからの配線の向きを変える
2種類の電源完成!右がType1.左がType2

5. 評価

3Ωの抵抗を使って電源の定電圧(CV),定電流(CC)の時の動作を見てみる.
電流プローブと電圧を同時に測定
適当な負荷をかけると内部のスイッチング波形が現れてくる。 スイッチング周波数は約181kHzなようだ。(ACカップリング)
CV動作起動と安定状況. [CV=1V、CC=500mA] 青は電流、橙は電圧の変化を示す 電源ONから電圧が安定するまで100msecくらいの時間を要している
CC動作起動と安定状況[CV=2V、CC=500mA] 500mAで制限される.青は電流、橙は電圧の変化を示す 「なんじゃこりゃ!?」なんか発振的な現象が起きている
発振しているような波形を拡大する。スイッチング速度とは別に約2kHzの周期波形が現れる。 定電流制御周期?
無駄な抵抗だとは思うが、200uHのトロイダルコイルを介してみた。
オシロのMeasurementの平均では近い値を示した。ただ、波形は・・・・

6. 出力コイル追加によるパルスノイズ提言検討

Figure 6 1 電源構成と試験ブロック図
手元にあった2.5mHのコイル。このサイズにしては容量が大きい。ただ、磁気飽和しやすそう。
出力電圧:12 ,負荷1A。コイルの前 (Figure 6-1の[①]ポイント) パルスノイズの振幅は1V~2V ACカップリング/ レンジ:0.5V/div
出力電圧:12V .負荷1A コイルの後。 (Figure 6 1の[②]ポイント) パルスノイズの振幅は1V以下。約半分になった。 一定の効果はありそうだ。ただしコイルの磁気飽和が気になる。大きな電流を流した場合、インダクターの特性が悪化する恐れあり。 ACカップリング/ レンジ:0.5V/div
このようにDCDC制御モジュールとターミナルとの間に2.5mHのコイルを挿入する。

7. まとめ

  • 出力パワーの割には軽いので、持ち運びが楽。
  • 冒頭の可変型DCDCコンバーは181kHzのスイッチングノイズを発生する。
  • CVモードは無負荷の時、ノイズレベルが低いが、負荷がかかるとスイッチングノイズが大きくなる。
  • CCモードにして定電流出力すると2kHzくらいの発振によく似た波形が現れる。従って、CCモードを積極使用することをせず、あくまでも保護用の電流制限用としてCCの設定をする程度にする方がよい。
  • 全体として出力電源としてはノイズが多めなのでアナログ回路や無線回路の評価には使用しないほうがよさそう
  • LEDやモーター制御であれば使える。
  • この電源モジュールは正直価格なりの「安かろう、悪かろう」の部類に入ると思うのでお勧めできる代物ではない。

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